全社戦略・事業戦略とは別に考えられがちであったIT戦略の重要度が高まるとともに、この3つの要素を1つとして戦略を策定する必要が高まってきました。
IT戦略の重要性が増したことにより、CIOや情報システム部門には、「IT戦略が全社戦略・事業戦略にどのような価値を提供し貢献していくか」という視点が求められています。

まず事業戦略の企画・推進に役立つITシステムを構築し、競争優位性を築くためのIT戦略の立案が必要です。
次に事業戦略とIT戦略を結びつけるため、業務プロセスの中でどこに競争優位性を構築するかを明らかにした「業務プロセス戦略」を策定しておく必要があります。それに基づき全社・全業務で利用される全システムのあるべきアーキテクチャを規定し、必要なITプロジェクトを識別します。
「事業戦略 - 業務プロセス - IT」の3点がひとつのラインにつながれることにより、業務とITの整合がとれた一貫性のある意思決定が可能になり、情報システムが業務ニーズを迅速に取り込むことができるようになります。
また、注力すべきポイントを規定することで、費用対効果の高いIT投資が可能になります。
立案した戦略を実現するた
めに、具体的なIT投資をどのような
プロセスを経て投資するかを決定するのがIT投資管理です。
IT投資には「IT投資計画立案」「IT投資プロセス構築」の2つがあります。
IT投資計画立案とは、現在とプランニングしたITの状態を近づけるための計画を立案することです。事業や商品の成長性、収益性、業務プロセスにおける差別化ポイント・重点領域などを基準に今後のIT投資の優先順位をつけます。
これを基に最適なIT投資ポートフォリオを構築するとともに、将来の事業展開計画や、現在不十分な点を明らかにした上で中期的なIT投資・改善計画を立案します。
IT投資プロセス構築では計画立案から導入後の効果測定までの間にどのようなプロセスを踏み、どのような評価基準を使用するのかを策定します。
IT戦略を策定したら、プロジェクトを推進する体制作りが必要になります。
従来は、情報システム部門の多くが、開発・管理をしていましたが、今後は企業横断での業務改革の旗手として幅広く役割を果たすことが期待されます。そのため他部門との関係性の構築や役割分担などを含めた全体での再設計が必要になってきます。
アプローチの一例として、
まずは、経営層・情報システム部門の責任と権限を最適化しその上で、システム部門の新たなコアコンピタンスの定義、機能・人材強化シナリオの策定やバランスストアカートなどを用いたパフォーマンス管理手法の導入などを行います。
その後、企業毎の文化や戦略に即した仕切るセットを定義した上で、その評価・育成を推進するための人材戦略、評価・育成プロセスを設計士、個人のスキルパスやキャリアパスを描くことまで支援します。